未来対談~社会福祉法人恵寿会 デイサービスセンター/アクティビティディレクター松山祥太~

■アクティビティ ディレクター対談パート1
デイサービスセンター アクティビティ ディレクター松山祥太 × 社会福祉法人 恵寿会 グリーンヒルみふね 施設長 吉本 洋

どうやったらみんなを楽しませることができるのか?どうやったらアクティビティ・ケアが伝わるのか?

吉本:
本日は、デイサービスセンターのアクティビティ ディレクターの松山祥汰さんに来ていただきました。今日のお話ですが実は、あまりテーマがなく、ぶっちゃけトークという事で、何を聞くかわかりませんが、聞かれるがまま答えてくださいね。

松山:
はい、何を聞かれるのかドキドキですが、わかりました。

吉本:
私たちはアクティビティ ディレクターですが、そもそもディレクターって何の意味?アクティビティって何の意味というところから、掘り下げたいと思います。ディレクターとは映画監督や演出家と呼ばれる人のことをさし、時に楽団指揮者とかそういった意味があるみたいです。アクティビティは活動とか、行動、遊びなどを一般にさしてるんですね。

そう考えると、どうやったらみんなを楽しませることができるのか?どうやったらアクティビティ・ケアが伝わるのか。そういったことを今日はふくらますことが出来ればと思います。実際にどうやったら、アクティビティ・ケアって他の職員に伝わると思いますか?

松山:
アクティビティ・ケアって、こうというのは言葉では難しいと思います。実際にやってみて利用者様のリアクションを見て笑顔につながれば、アクティビティ・ケアになっているのかなと思います。ご利用者様の笑顔が職員のモチベーションにつながっていると思います。

逆に言えば、楽しませない、楽しみたくない人は向かないと思います。しかしながら無表情でロボットみたいにはたらくよりは、表情が豊かではたらくのがいいと思います。自分も楽しめないと相手も楽しめないのではないでしょうか?

基本は自分も楽しむという事だと思う

吉本:
そのとおり。自分もデイサービスに所属していた時、アクティビティをやっていましたが、このゲーム面白くないなあ。と思いながらやっていたら、それがご利用者様に伝わってしまい、盛り上がらなかったことがあった。基本は自分も楽しむという事だと思う。今度6月末に全体勉強会をやるんだけど資料づくりでそこが一番難しいと思います。

松山:
そうですよね。出来ないことをチャレンジしてそれを提供するのは、ハードルが高いと思います。なんだったら楽しめるのか?各職員の趣味で、これだったら出来る!それを行い反応が良ければ、それでよしだと思いますし、形が出来ます。形が出来ればそれはもうアクティビティ・ケアといってもいいのではないでしょうか?

吉本:そのとおり。アクティビティ・ケアとは特別なこと、自分を向上させるためには新しいことを取り込むのも大切なことだけど、自分はいいけどみんながいいとは限らない。得意なものを生かしたりするのもいいと思う。日常生活で言うなら、タバコを吸う職員がいるし、タバコを吸うご利用者もいる。一緒に吸って、コミュニケーションを図っていいと思う。でもグリーンヒルでは原則、敷地内全面禁煙だからできない。でも、そうしたちょっとした場面を作ることをしてあげたいし、そもそも〇〇してはいけません。という制限されることで、自分らしさを失う気がする。

制限されることで、自分らしさを失う

松山:デイサービス、ショートステイいろいろ事業所はあるのですが、自宅で過ごすことで近所の目が気になったりとかして、いろんな制限をされていることもあるのではないでしょうか?たとえば、デイサービスをご利用する事で制限されていたことが、解放されるのならば、本人の喜びや楽しみにつながりますし。私たちがそうした事を見つけていくことで、ご利用者様の生きがいになるのではないかと思います。もちろん自分たちもそれで嬉しくなります。

吉本:自分たちのレクってご利用者様は楽しんでくれているのか?お年寄りがやりたいことを考える機会を作ってもらうといいと思う。よその施設ではデイサービスの老人会があるらしい。例えばそれを応用して曜日ごとに会長を構成すればいいと思う。自分たちのやりたい、やってみたいレクをお年寄り同士で話し合う。そもそも、やりたいことをかなえるのが私たちの役割だと考えています。

松山:質問する機会を作るときに発言してくれる人、したくない人、恥ずかしがり屋の人がいると思うんですけど、いかに言える環境にするか。それは職員で考えて、より多くの意見を吸い上げる環境が必要ですし、お年寄り同士、協力し合うのもありだと思います。

職員で考えて、より多くの意見を吸い上げる環境が必要

吉本:脳トレがあり、よく〇〇式という計算問題があるけど、先生でもない自分が採点するのは、お年寄りにとっては、プライドもあると思う。

孫世代が先生としてご利用者様に提供するわけで、どうせならディレクターという考え方で言えば、先生になりきるということも大いに考えてもいいと思いました。

松山:難しい計算はわかりませんが、それを得意とするご利用者様もいると思います。職員の子どもを連れてきてお年寄りが採点をする。

吉本:それ、つかえますね。

松山:できる事を生かしたケアでもあるし、出来ることを探して実行してもらうことはなかなか難しいですが、教えてくださいとか認めてあげたりすることで、次につながると思いますし、活気が出ます。

吉本:計算で思い出しましたが、アクティビティ・トイのチロリアンルーレットがあります。コマを回して小さな玉が得点され、加算する木のゲーム。ものすごく計算早いご利用様いました。

松山:え~そうなんですか?

吉本:何でそんなに計算が早いんですか?とお尋ねしたら魚屋だったって・・・。で、じゃあ算盤(そろばん)を使ってたんですね?というと算盤(そろばん)は水気があるところは、滑らないから役に立たないよ!だから暗算ばっかりだったのよ。

松山:あ、暗算!すごいですね。

吉本:そのご利用者様が初めて魚屋さんだったと知りました。ゲームをしながらあるいは会話をしながら気づく事はたくさんある。

今のアセスメントシートは、病歴や身体状況の記述が中心で、その方の嗜好的なものや趣味、特技がわからないケースがほとんど。

たとえば、車いすの方が3人から4人並んでいて、何人の職員がその方の職歴や特技をしっているのかなと思うことがある。

身体介護が中心の介護の世界なので、自分たちの伝えるむずかしさとは、実はここにあるんじゃないかなと思っている?

伝わらないのは伝える人が悪い。いかに伝えるか。

それを考えるのは自分たちの努力が必要だと思います。

自分がしたいという気にさせることが僕たちの役割で、アクティビティ ディレクターの使命だと思います

松山:伝えるという意味でいくと、自分がしたいという気にさせることが僕たちの役割で、アクティビティ ディレクターの使命だと思います。こうしたい!とつながるようなアクティビティ・ケアをすれば興味をもってもらえるのではないでしょうか?

吉本:具体的に掘り下げるとよくエビデンス(科学的根拠)が大事と言うが、エビデンスを取るためのアクティビティ・ケアではいけないし、むしろしんどい。

松山:忙しくしているのが目に見えている。そういうところ、ご利用者様は感じているはずです。気づいてくれるまで待とうとしているのではないでしょうか?話したいけど迷惑になるのではと思ったり。

それが長ければ長引くほど、淋しいと感じるし、やがて取り合ってくれないという不満につながっていると思います。

吉本:余裕がない?

松山:余裕があり過ぎるのもイケないと思います。バランスが大事ですし、ある程度の緊張感はむしろ必要です。

吉本:多田先生は会話いわゆるコミュニケーションが一番のアクティビティ・ケアと教えられました。

松山:そうですね。前デイサービスでこういった目標をたてました。

『一日一回ご利用者さんと話をする』挨拶+ひとことに心がけていました。

私の場合はちょっと笑わせてみたりとか、たまにします。

吉本:会話って大事だよね。笑わせるっていうのが松山君の個性でいいんじゃないかな?
今回は、デイサービスセンター生活相談員の松山祥太君でした。ありがとうございました!

松山:ありがとうございました。

今回の対談を終えて

今回は初めて『アクティビティ ディレクター(高齢者アクティビティ開発センター認定資格)』との対談でした。今のお年寄りが、食の栄養は満たされていますが、心の栄養が栄養失調ではないか?と言われています。そんな心の栄養を満たすのが『心の管理栄養士』でもある『アクティビティ ディレクター』です。

グリーンヒルみふねでも心の管理栄養士が5名配置されていますが、今回はデイサービスの生活相談員でもある、松山さんとの対談でした。普段あまりゆっくり話す機会が少なく、最初は緊張気味でしたが、今の若い人たちがどんな気持ちでお年寄りに接しているのか?私が彼に聞いたとき、とても印象的だったのが『無表情でロボットみたいに、はたらくよりは、表情が豊かではたらくのがいいと思います。自分も楽しめないと相手も楽しめないのではないでしょうか?』日頃は、介護現場は過酷で、つい表情がなくなってしまいます。しかしながら彼の頭の中では根底に、楽しむということがあるのです。

たしかに、ケアを提供する職員として『自分が楽しまなければ、お年寄りを楽しませることができない。』ということだと思いました。私が日頃、考えている『自分が幸せでなければ、お年寄りを幸せにすることができない』ということが、少なからず、末端の若い人に浸透していることは、うれしく思いました。言いやすい環境。語りやすい環境づくりが上司としての役割なのだと改めて、この対談でわかりました。松山さん!おつかれさまでした。これからも、グリーンヒルみふねとお年寄りをよろしくお願いします。

平成29年7月30日 吉本 洋