未来対談~東京おもちゃ美術館館長・多田千尋編~
土地に行って”いいところ”を見つける。”輝いている人”を見つけ出す。(多田)
吉本:
新宿のど真ん中にいながら、いきいきしているが人を見つけ、その人の気持ちを彷彿させるものは何なのでしょうか?
多田館長:
1700市町村があるんですが約1000市町村前後はおとずれています。
1つはその地域のいいところを見つけ出すというところです。しかし、行く先々、地域のいいところは何処にもないと言う人がいる。
しかし、東京から来た私にとってはローカル線などワンダーランドのような列車に見える。
あの手この手でいいところをどんどん見つけていくことです。
二つ目、町を何とかしなければならない人、社協や役場職員、民生児童委員、青年会議所、商工会議所などあらゆるところに行って、その人にアプローチする。
土地に行っていいところを見つける。土地に行って輝いている人を見つけ出すことです。
その人たちが出番をもらい、その人がどう考えるか、それが大切です。(吉本)
吉本:
私は多田先生から紹介いただいた方々は、目が輝いており、とても熱い人が多いです。
人と出会う一番の魅力は何なんでしょうか?
多田館長:
人と出会うというよりも、人が育っていくプロセスを見ていくのが一番の魅力です。
緩い教養講座ではなく、資格認定講座にするという事でその方々と師弟関係を築くことが出来る。
いわゆる私塾のようなもの。その人たちが成長するうえで、私は伴走者として眺めていけることが楽しみであり、魅力です。
例えば、各時代の偉人がいますが、その弟子がどんどん成長していく姿を見て楽しむことがあったのではないでしょうか?吉田松陰などの弟子である福沢諭吉など居ました。将来大物になるとは後世、思ってもみなかったのではないでしょうか?松下村塾まではいかないが、ミニ・ミニ松下村塾ですね。
吉本:
そうですね。そう考えれば私なんて、アメリカの講演を引き受けたくらいですから。普通そんなこと引き受けないですよね?アメリカなんて。しかも英語ですよ?(笑)
その人たちに出番をもらい、その人がどう考えるかが大切です。
夢は、高齢者と子どもをつなぐ施設。それが赤ちゃん木育カフェ「マシ木ルク」であり、グリーンヒルましきでした。(吉本)
多田館長:
そういう人たちは、自らの力からで影響力を及ぼすことができる。
出番を作り、その気にさせること。それが私の稼業になっています。
吉本:
よく私と多田先生は妄想会議をすると思うのですが、妄想を語ることが大事だと思う。認知症介護指導者を受講し、高齢者と子どもをつなぐ施設を作りたいという夢があり、それが赤ちゃん木育カフェ マシ木ルクでありグリーンヒルましきでした。
多田館長:
役所の縦割りの考え方、総合大学や学科を越えてのつながりを作り、化学反応を起こさせる。
今行っているアクティビティディレクター養成講座は様々な職種が受講しているが、職種間交流だからこそ化学反応が起きているのではないか?それがカルチャーをつくる醍醐味である。
多文化共生、多世代共生という考えから、赤ちゃんからお年寄りまで、くまなく眺めることが大切。世の中にはそれぞれの専門家はたくさんいる。
妄想会議は大切であり、妄想会議は無責任なことが言える。
費用対効果も考えなくてもいいし、予算計上など考えず、純粋に語り合うことができる。
夢物語を語りつづけるのではなく、妄想会議から一段下げ、それが夢会議になり、また一段下げ、現実会議となる。それが、つながるのである。居酒屋でいつも夢を語ることで終わるのは興味がない。
ちょっと熱い心をもった役場の職員や社協の人が必ずどの部署にもいる。(多田)
吉本:
大きなプロジェクトを行う時、大抵は県知事や首長が動かないと達成できないと思いますが、多田先生ですので、いきなり会いに行くのでしょうか?
多田館長:
いいえ、そんなことはありません。
ちょっと熱い役場の職員や社協の人が必ずどの部署にもいると思います。
そういう人と巡り合うとバチッと決まってくるんです。熱い役人の人たちが東京おもちゃ博物館に来てくれる。
オフィスビルの一角だったら、なかなか来づらいですが、ふらっと寄ることが出来るのも、おもちゃ美術館ならではのこと。
吉本:
職員の出番を増やしたいと思います。最近は講演回数が多いのですが、そろそろ他の職員にもデビューしてもらいたいと思い、講師育成がカギとなります。
パワーポイントの資料も字が多過ぎてもだめであり、一枚でいかにわかりやすく伝えるか?以前、多田先生が言われていました。一枚の写真で何分語ることが出来るか?それを大切にしています。
多田:そうですね。写真の力からは大事です。吉本さんも最初は字ばっかりだったよ(笑)
吉本:(笑)そうでしたね
多田:文字だらけが解消すると、今度は写真だらけになってしまう。
一枚のスライドに複数枚入っている場合がある。配布資料ならわからなくなってしまう。
一枚の写真が持つ写真の力。大切です。出番を増やしてあげることが職員のモチベーションになります。
吉本:
写真の持つ力は本当にすごいですね。
多田:
そうです。
写真は、写真を撮る人の思想性が出る。写真に関する研修会みたいなのもいいかもしれませんよね。
今日は忙しいところありがとうございました。
今回の対談を終えて
私が初めて多田先生にお会いしたのは平成25年の初冬。それから早5年が経ちますが、お会いするたびに『妄想会議』が開催され、夢が広がります。夢を語り続けることの大切さを多田先生とお話しするたびに感じます。実現したいもの、実現させたいものをいかに周りに語るか。夢の実現度は、人に語った回数に比例すると実感しています。人はひとりでは何事もなし得ることはできません。
人と出会うことで、新しい自分を見つけることができます。『自分探しの旅』をこれからも続けていきたいと思います。
平成30年6月26日 吉本 洋