五感を呼び覚まそう~ネイチャーゲームと世代間交流~(2014/6/25)
2014年06月25日
パネルディスカッション「認知症の高齢者が輝くアクティビティ・ケア」の分科会で、発表した内容です。
【五感を呼び覚ます必要性】
認知症の高齢者は、介護保険施設に入所することにより、生活がマンネリ化してしまい、人間らしさというものが失われ、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を使う機会が少ない気がします。少なくなることで外部の刺激がなくなってしまい、認知症の進行が進んでいってしまうのも現状です。
私たちは五感を使って生きているわけですが、それが当たり前になってしまい、無意識のうちに五感を使うことにより、生きているありがたさを忘れてしまい、人同士が傷つけあったり、派閥を作ってしまったりと今の社会は、温かみのない暮らしの中にいます。ネイチャーゲームとは、五感を意識して使うことにより、生きているありがたみや自然の大切さを実感できる活動です。
【安全という名の閉じこもり施設】
介護保険施設に入所されている認知症の高齢者でいえば、まだまだできる可能性があるのに、失敗することでもう出来ないと自分で思ってしまう。あるいは職員がもう出来ないだろうと決めつけてしまい何らかの行動制限をしてしまい、生きるという楽しみや人間らしさを失わせてしまう要因となっており、もはや『安全という名の閉じこもり施設』になってしまっているといっても過言ではありません。
【ネイチャーゲームの可能性】
ネイチャーゲームというものを通じて、意識して五感を使うことにより、生きているというありがたみを実感し、できたことの達成感を味わうことでまだまだ自分にもできるんだという希望が生まれてきます。職員も同じです。ネイチャーゲームを体験した職員の劇的な意識の変化が結果、介護職員の介護技術の向上につながり、認知症の高齢者の生活の質の向上につながっていることが実感できています。
【世代間交流の重要性】
少子高齢化といわれている中、核家族化が進み、高齢者世帯、一人暮らし世帯がかなり増えてきています。そのため、高齢者も園児も異世代を通じた交流がなくなっています。日本古来からある大切な伝統文化、伝統工芸など伝えていかないといけないことは山積みです。
そんな中、幸いにも当法人は介護保険施設と認定こども園の両者を経営しています。私たちが本来目指すべく、世代間交流というものは形式的な世代間交流ではなく、日常的な世代間交流を目指しています。
お年寄りは子どもたちから元気をもらい、子どもたちはお年寄りからいろんなことを教えてもらい、学びの場となります。
さらに、お年寄りはそうした子供たちの笑顔をみることで教えているという実感がわき、生きがいにつながります。今年度では、畑を有効活用し、種まき、収穫、調理、食事までのプロセスを認知症の高齢者と認定こども園の園児で実践しました。
私たちにとって当たり前にできていることは実は、認知症の高齢者にとってできていない。私たち職員自身が機会を奪ってしまっているのではないか?現場の実情と経営者の想いのはざまの中で作り上げた今の体制。
認知症の高齢者がいつまでも人間らしく生活するため、さらなる挑戦をしていきたいと思います。