シンポジウムを終えて(2012/9/18)
2012年09月18日
去る9月9日(日)にグリーンヒルみふねにおきまして自然体験からつながる回想法~シェアリングネイチャー~と題しまして、シンポジウムを開催いたしました。
皆さんお忙しい中にご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。参加者総数が80名でしたが皆さんの高齢者福祉に関する関心の高さがうかがえました。
アンケートの中に、寝たきりの利用者の方の窓をあけて、小鳥のさえずりや風を感じてもらうなど当たり前に思うのですが、どうしてやってないんだろう。人間らしい生活を考えればごく普通のことなのに・・・。今のやっている私たちの介護を考えさせられました。
施設に入所しているとどうしても介護する側は安全、安心という名のもとに極力、施設完結型のケアで済ましているのが現実ではないでしょうか。もちろん、野外活動においてリスクは考えないといけません。現場からはけががあったらどうするんだ。という厳しい声もあります。
しかしそれが全面的に出てしまうなら、外出行事もできない。季節を感じることすらできない。昔、当たり前のように季節を感じることができていたのにどうして介護する側の立場だけで入所者の方が、外に出ることが制限されてしまうのでしょうか。
そんな思いから介護福祉士等、保育士資格を有する専門職によるネイチャーゲームリーダーを育成しました。幼児の分野ではほぼ確立されているネイチャーゲームですが、高齢者分野ではまだ研究されておらず、未知の分野だそうです。
福祉専門職とネイチャーゲーム協会が連携し高齢者の失われつつある五感を取り戻してもらうために、どのような活動や支援ができるのか。認知症予防の観点、介護予防の観点から今後注目を浴びる分野であると確信しています。
ネイチャーゲームの資格を取得した介護職員が夜勤の際、窓をさりげなく開けて『Hさん、おはようございます。外から小鳥のさえずりが聞こえていますよ。風も気持ちいいですね。今日もよろしくお願いします。』と声掛けや介護方法にも変化が出たといいます。
この場合、単純に『おはようございます。今日もよろしくお願いします。』ではすぐに会話も途絶えてしまいますが、自然に触れた声掛けの方法だといろいろなパターンであいさつができるようになります。
このような職員の意識の変化でご利用者の方が自然に触れる機会が増えてきます。会話も増えます。会話が増えるということは、日常生活においてメリハリがつき、施設全体の活性化につながります。利用者のみならず、職員同士の会話にも変化が出てくることでしょう。
ネイチャーゲームとはゲームを一つのツールとしてとらえ、五感や感性を磨くことができます。
自然の素晴らしさ、人への思いやり、やさしさが生まれてきます。外に出て何かをしよう。とはまって実施するのも楽しいですが、このような日常生活の中でもネイチャーゲームの理念は生きています。
この素晴らしい理念を今後もたくさんの人に伝え、いつまでもやさしい気持ちで人に接していきたいと思います。
※2012年のグリーンヒルみふね旧広報誌に掲載されたものです。