地域の魅力(2013/04/05)
2013年04月5日
日向往還徒歩の旅の受け入れも今年で3回目となりました。日向往還のスタッフの皆さんの元気や子供たちの一生懸命な姿に私たちは毎回感動をもらっています。
受け入れ当初は日向往還の歴史については恥ずかしながら知りませんでした。歴史に触れてみると、時代はさかのぼり江戸時代、肥後の国(熊本)と日向国(宮崎)をつなぐ主な交通路を日向往還と呼んでいました。
この道は、九州山脈の尾根沿いをぬうように続く、自然あふれる往還(街道)のようです。日向往還は生活物資を運ぶことを目的としており、熊本と江戸を結ぶ参勤交代の豊前・豊後街道とは違って、細かい起伏は多いですが、激しい高低差はないようです。
往還沿いの地域には深い歴史と文化が大切に残されており通潤橋をはじめとした石橋がたくさんあるのも特徴です。
場所によっては『御船往還』、『馬見原往還』と呼ぶところもあり、熊本方面に向かう人は『熊本往還』とも呼ばれているそうです。こうした歴史を学びながら、歩くということは非常に有意義な時間ではないでしょうか。近年、自動車社会ですので何かあれば車で行き、時間を短縮してしまいがちです。
車より早い鉄道や、新幹線、飛行機など交通網が急速に発達した50年・・・。ゆっくりと時間が流れるというよりは、いかに時間を短縮し、時間のロスをなくしていくか、時は金なりといわんばかりにいろいろなものが簡素化されてきています。便利になることはいいことでしょう。
しかし、このようなことが人々の会話を少なくさせてしまい、いつの間にか大切であった『人と話す』『人と会う』『人と触れ合う』『自然と触れ合う』時間まで短縮させられている気がします。
ネットやメール、Web等の発達により人と会う機会がなくなりました。いや、むしろわざわざ会わなくても、忙しすぎるこの世の中ですから、時間がなくても要件さえメールやWeb等で伝えれば、相手に伝わります。目の前に人がいなくてもいいんです。このように大人が便利さを求め続ける代償は計り知れないものではないでしょうか。
私たち大人は常に便利さを求め続けていきますが、子供たちにとっては貴重な体験がどんどん失われていっている。そんな気にさせられる毎日です。
コミュニケーションが以前に比べ、とることができなくなっている人が増えているといわれる中、日向往還徒歩の旅という企画を通じ、親元を離れた子供たちは自然を満喫し、その地域の歴史について学び、長距離を仲間と歩き、仲間と一緒に食事を作り、仲間と風呂に入り、仲間と泊ることで人と人が触れ合うことがいかに大切であるかを学ぶことができたのではないでしょうか。
今後は、このような自然体験活動や地域の歴史について、触れる機会を私たち大人がつくり、いかに子供たちが楽しく自然や地域の歴史に興味を持つのか、大人の視点ではなく子供たちに視点で見方を変える必要があります。
地域の魅力をもっと子供たちに教え、地元に就職してもらえる町づくりが必要なのではないでしょうか。
※2013年のグリーンヒルみふね旧広報誌に掲載されたものです。