音楽療法との出会い(2012/5/25)
2012年05月25日
私が音楽療法という言葉を初めて聞いたのは平成16年の夏でした。まだ、私がデイサービスの生活相談員だった頃です。
ある施設へ現場実習をさせていただきました。その施設は曜日によってプログラムが異なり私の実習日は『音楽療法』でした。当時、私のイメージしていた音楽療法とは、単に職員が利用者の方と昔ながらの歌を一緒に歌うものだと考えていました。そんなイメージを覆す衝撃的な印象を受けたのが、この日でした。
その施設で行われる音楽療法プログラムが始まる前、音楽療法を実践する講師の方と作業療法士、介護職員がなにやら楽しそうに打ち合わせをしているのを見てなにが始まるのか興味津津でした。いよいよプログラムの始まりです。
軽快なリズムで水戸黄門のテーマ曲が流れ、助さん・格さんがでてきました。寸劇風に仕上げられており、歌あり、セリフあり、コントありで瞬く間に音楽療法プログラムの世界に入り込んでしまいました。そのうち、自分自身も自然に歌を口ずさみ、手でリズムをとり、気がつけば45分という時間があっという間に過ぎていました。
プログラム終了後、さっそく講師の方に話をうかがうことにしました。『私は平成音楽大学の音楽療法士、小林真寿子です。』今では本当にお世話になっている小林先生とのはじめての出会いでした。小林先生とお話をしているうちに、音楽療法を実践したことで寝たきりのお年寄りが車いすを自走するまでに回復した事例を聴くことができました。
当時の私は一職員という立場だったので経費がかかる以上、音楽療法はなかなか取り入れることは難しいと考え、少々あきらめていました。音楽とは世代を超えたものであること。名曲は後世まで歌い続けられること。知らない者同士でも音楽を通じ共通した話題ができること。そんな魅力のある音楽の世界をいつかグリーンヒルでもやってみたい・・・。そのような思いが数年続きました。
2年後の平成18年、念願の音楽療法を導入しました。講師はもちろん音楽療法の知るきっかけを作っていただいた小林先生です。音楽療法の対象者はデイサービス利用者、特養入所者、グループホーム入居者の方です。音楽を通して楽しそうにされている利用者の方を見ると導入して良かったと実感しました。
何事もそうですが、ねらいや目的がないと活動は単発で終わってしまうケースが多いようです。音楽療法を継続させていくにはどうすればいいかとここ数年いろいろと考えました。そうだ。音楽療法士だ!彼らがいれば活動は継続できる。以前、小林先生から学生さんの紹介があったことを思い出し、先生にもう一度、音楽療法士の資格を持った学生さんで福祉施設に興味のある方はいますか?とお尋ねしたところ、教え子で数名いるとのことでした。
音楽療法士の資格を持った職員がいれば、音楽を通じたレクはもちろんのこと音楽療法として本格的導入も可能ではないか。そんな思いから、音楽療法士を採用しました。今では3名の音楽療法士がいます。音楽療法の出会いから8年という月日が流れました。今年度より法人で音楽療法プロジェクトを立ち上げました。今後は彼女たちを中心に、音楽療法の新たな世界を作り上げていきたいものです。
※2012年のグリーンヒルみふね旧広報誌に掲載されたものです。