季節を感じる大切さ(2011/11/14)
2011年11月14日
最近、私たちの身の回りは冷暖房の空調システムが整備され、夏は涼しく、冬は暖かく年中快適に過ごせる時代になりました。夏は暑く、冬は寒いのは当たり前なのですが、介護の世界では安全を理由に『外に出る機会がない』。そんな気がします。
暑いという感覚、寒いという感覚は生きていくうえで大切なことではないでしょうか?家に閉じこもり防止のために来たはずなのに、施設という空間に閉じこもっているのなら結果的に一緒のような気がします。
そこで今回は、新レクリエーション『自然体感!!秋を感じよう!!』をテーマにデイサービスで企画したことを紹介させていただきます。秋がテーマということでしたのでまず、皆さんに『秋のイメージ』をお聞きしました。
『柿!』『干し柿!』『焼き芋!』『もみじ!』・・・・。などいろんなものが出てきました。私と皆さんがやり取りしているうちに盛り上がってきましたので、あるゲームをしました。施設の園庭にある植栽に秋のイメージとかけ離れたもの、あるいは明らかに不自然なものを10個置き、何個あるのか当てるゲームです。
ここで大切なことは、10個あったからいい。10個見つかるまで・・・。という堅苦しいものではなく、それぞれの感性をどう引き出すことができるかが目的です。みなさん、それぞれ身を乗り出してあれは本物か?偽物か?見る人、声に出してあれは絶対に間違っているという人、指差す人。さまざまでした。
中にはアンパンマンの人形やタワシもあり、そんな意外なものを置いたことで皆さん興味津津でした。目を凝らし、数を一生懸命数える。一種の視覚をつかったゲームです。もう一つのゲームは、袋の中に手を入れて何が入っているか当てる単純なものです。ただ適当にものを入れたのではなく、秋をイメージできるものだけを探し準備しました。
意外に目で見ることができないので、手の感触だけが頼りのこのゲーム。結構皆さんは一生懸命手で触り感触を確かめていました。さっきは視覚を使ったゲームでしたが今度は、手で触って確かめるという触覚を使ったゲームです。皆さんの手先は繊細で、すべて中身が当てられてしまいました。
中には椿の実と種を入れていましたので、椿油の取り方や使い方を教えていただきました。昔は椿油を髪の毛に塗っていたそうです。今でもヘアケア用品に椿油配合などの表示があり、慣れ親しまれているようです。他にも戦時中、どんぐりは貴重な食糧源だったことや松ぼっくりでおもちゃを作っていたなどの話もあり、逆に私が利用者の方からたくさんのことを学びました。
こうやっていくうちに、自然体感というものは高齢者にとって、一種の回想法につながっていることが改めて立証されました。昔を思い出すことは何歳になっても大切なことですね。季節を感じる大切さをこれからもたくさんの人に伝えていき、また私自身学びたいと思います。
※2011年のグリーンヒルみふね旧広報誌に掲載されたものです。