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シェアリングネイチャーについて

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歩く・手を伸ばす・香りを嗅ぐ・・・シェアリングネイチャーとは、五感(さまざまな感覚)への問いかけ

シェアリングネイチャーとは、五感(さまざまな感覚)への問いかけです。花や木の実に触れようと手を伸ばす、小さな起伏のある野外を歩くことでバランス感覚や体幹が鍛えられる・・・。ネイチャーゲームという手法を活用し、意識して五感を使うことで、自然の中での活動は、知らず知らずのうちに体を使い、身体機能をアップさせる効果があります。

  • ・年齢を重ねることで、見えていなかったものが、意識することで見えるようになる。
  • ・年齢を重ねることで、キレイなものが、意識することでよりキレイと思えるようになる。
  • ・年齢を重ねることで、聞こえなかったものが、意識することで聞こえるようになる。 → 感受性を磨く訓練

シェアリングネイチャーは、お年寄りとのかけ橋

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便利な世の中になってしまい私たちは、無意識のうちに五感を使っていますが、五感を使っている自覚のない生活をしています。

  • ・きれいなものを見過ごしてしまっていませんか?
  • ・見えているはずなのに見えなくなってしまっていませんか?
  • ・大切なものを、失って初めて大切だったと気が付く事がありませんか?

安全という名の”閉じこもり”をさせていませんか?

「風邪をひかせてはいけない」「転ばないように」・・・そのような思いから、高齢者の暮らしを、外の風にもふれない、季節の変化もわからない、単調な日々にしていないでしょうか?

刺激のない生活が認知症を進行させ、身体機能を低下させるという指摘がされています。
リスクを恐れて、つい陥りがちな”過保護・過介護”。安全・安心は、リスクマネージメントをしっかりと行えば確保できます。
高齢者の残存能力を引き出し、日々の喜びを高める『ネイチャーゲーム』を取り入れてみませんか。

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シェアリングネイチャーの特徴

①知識や年齢に関係なくできる。
②身近な公園や学校、室内でも手軽にできる。
③さまざまな感覚を使って自然を直接体験できる。
④大人と子どもが一緒に楽しめる。
⑤参加者の心と体の状態に合わせた展開ができる。

シェアリングネイチャーの効果

①自然の美しさやおもしろさ、不思議さなどを発見できる。
②自然や他者への共感や思いやりが生まれる。
③自然や環境への理解が深まる。
④いのちを大切にする心が育まれる

シェアリングネイチャーの心がまえ

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以下のような心構えでアクティビティをおこなっています。

(1)言葉にして、導いてあげるなどの工夫が必要

言葉にしてしまうと覚めてしまう。言葉にせずに、沈黙という手法を使うことで深く感銘し合える。感じたことをお互いに共有する時間がある。 

→認知症の方の場合、この沈黙という時間がひょっとすると難しいケースもある。

(2)お年寄りが主役

 教えるのではなく一緒に学ぶ・感じることを大切にしています。自分に知識があるとつい多くを語りがち。
木の名前を全部知らなくちゃいけない?虫の名前を全部知らないといけない? 

→そんなことはありません。
ひょっとするとお年寄りが先生となり得る場合もあります。

(3)チャンスを逃さないで

自然の動きは一瞬で変わるもの。よそ見をしていたりして、大切な自然観察の瞬間を見逃すこともあります! 

→もったいない
認知症のご利用者の方も一瞬の表情や動きがあります。
 (喜怒哀楽などの表情は一瞬です。また表情だけではなく、目が開いた!指が動いた!体が傾いた!)

(4)体験第一、解説はあとで

解説しすぎてしまうと、しらけてしまう場合もあります。多くを語らず。
利用者の方、参加者の方に体験してもらい何をその人たちが感じ、何を伝えたいのか。 

→質問があり始めて解説するのが望ましい。解説が先行してしまうと一種の授業のようなものになってしまいます。

(5)楽しさは学ぶ力

楽しいことを伝えたい!
自分が楽しめなければ、その雰囲気は相手にも伝わっていきます。楽しいと思うことこそ新たな学びにつながります。 

→力まず、あせらず、楽しく遊ぶ。
自分の言葉で、背伸びせず!専門用語使わなきゃ!なんて思わなくていいんです。

ネイチャーゲーム導入で期待できる効果

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(1)変化のある生活で活気が出ます

自然の移ろい(春夏秋冬)や周囲の変化(桜、セミの声、紅葉、雪)に関心が出て、積極性が生まれてきます。

(2)身体機能の回復を促進します

普通のリハビリと違い、自然に手を伸ばしたり、歩行距離が延びたり、自然の中で運動量が増加する。

(3)コミュニケーション能力がアップ

自然への気づきから、会話が増え他者との交流が増えます。きれいな花や虫たち、雨・雪も会話のきっかけづくりになります

(4)精神的な安定を導きます

しずかな自然という環境の中で、自然独特の癒し効果や人との触れ合いで笑顔が増え、心が安定します。

(5)“生への肯定感”が生まれます

自然の中で出逢う多様な命がもたらす“自らの生”の肯定感。生きている喜びや楽しみを自然を通じて感じることができる

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シェアリングネイチャーの飽くなき探求

施設長

みふねもりもりネイチャーゲームの会は特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、保育所型認定こども園に勤務している介護福祉士や保育士等の専門職12名で構成されています。なぜ、福祉専門職から始めたのかといいますと私自身ある疑問があったからです。

介護保険サービスを利用されているお年寄りは施設職員に比べ、季節を感じる機会が少ないのではないか。介護保険サービスを利用されている方は自ら動くことに何らかの制限(車いす、ベッド生活、杖など一人で動くと不安定な方・・)があります。近年空調システムが格段に向上し、外が暑いのか寒いのかそれさえもわからない。

安全という名のもとに、年中施設に閉じこもっているお年寄り。ふとしたそんな疑問から、お年寄りの失われつつあるさまざまな感覚を呼び覚まそうと考えたわけです。

まずは、お年寄りに・・・

『フィールドビンゴ』失語症の方が一生懸命に「あ~。う~。」と言われていましたので何か見つけましたか?とお尋ねすると黄色いチョウがいたらしく、チョウですか?とお聞きしたら頭を数回縦に振られました。ある方に、葉っぱについた雨のしずくを頬につけると「冷たい!!」という何とも言えない表情をされたのが印象的でした。ちょっとした表情の変化や会話がいつも以上に弾んだことは私たちの活動で大きな意味がありました。

お年寄りの特性を知る

どこまで声かけしていいのか。黙っていれば何も感じないのではないか。「その人にあった声かけの方法」を身につけ実践していく必要性を感じました。

お年寄りの場合、短時間でも変化を感じることができた(表情・会話等)ので本人の能力をどこまで引き出すことができるのかリーダー自身の質の向上や利用者の方の情報(身体的機能・認知症の度合い)収集が大切です。つまり、お年寄りの特性を知るべきであり、介護保険施設とは何か、認知症とは、福祉用具の適切な使い方、周りにどんなフィールドがあるのか。

リーダーの気持ちとしても「また行きたい」「また、したい」と思ってもらうことが重要で、「楽しかった思い出」がこの活動を持続させる秘訣だと思います。

お年寄りへの実践

「カモフラージュ」カモフラージュが始まると目の色を変え「ほー、ほー、あそこにあったい!」と熊本弁丸出しで声を荒げる人もいました。物事をしっかり見るということは集中力を養う訓練にもなりますし『見て、集中して、探し出す。』という行為は認知症の予防や介護予防につながってくるので、今後脳の活性化の訓練に有効であると期待します。

「感触の宝箱」何が入っているのかという興味と手を入れる瞬間、職員の顔色をうかがう方がいてとてもその顔が印象的でした。

お年寄りの手の感覚は私が思っていた以上に敏感ですぐにわかる方もいました。ドングリを入れていたのですが、戦時中の貴重な食料で兵隊さんにもたせていたそうです。

椿の実を見て、髪の毛に椿油を頭に塗っていたことや椿油の作り方まで教えてくれました。そんな回想法的な想像につながったことがわかりました。

活動を通じて得られたお年寄りへの効果

「普段、室内ではなかなか自分で食べようとしない方」外で食べるということで自ら箸を使い、完食された方がおり、日頃から食事介助することで職員自身がこの人は自分で食べることができないという決めつけがあったのではないか。自ら食べることができたということは大きな意味があります。

「日中はとても穏やかな方だが夜になると豹変する方」単発な活動では特に大きな効果は見られませんでしたが、何度か外にお連れしたことで夜間の様子が緩和されました。日中活動したことで夜間、落ち着かれるなら定期的な散歩は有効です。

「現段階でほとんど効果の見られない利用者の方」話し方、表情、導入の段階の工夫や接し方が必要であると考えています。どうやったら認知症の方に理解していただけるのかあるいはどうやったらその方の世界に入り込めるのか、あらゆる可能性を探る必要があります。

これからのわたしたち

最終目標は世代間交流ですが、世代間交流を追求するうえで大切なことは、子供たちとお年寄りが交流することにより、子供たちが施設入所されているお年寄りを身近に感じてもらい、その子供たちが大人になったとき施設入所されているお年寄りへの偏見の目をなくすことです。

世代間交流をすることでお年寄りは昔ながらの伝承遊びや昔話を思い出すことで回想法やその趣味を生かした生きがいにつながります。

子供たちはお年寄りと交流することで学びの場として知識を深められます。活動を続けるうちに生まれ育った故郷に対し愛着心が生まれ、本当の意味での地域活性化につながるのではないでしょうか。

もっと知りたい方へ

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公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会
http://www.naturegame.or.jp/

自然と人との関係性が希薄な現代は、自然環境にも人間環境にも前途多難な時代とも言われています。私たちの活動の目的は「人が自然を尊重し共生していく社会をつくる」こと。ネイチャーゲームをはじめとした自然体験プログラムを通して、Sharing Nature Life ~自然を楽しみ、自然と遊び、自然から学ぶよろこびに満たされた生活~を送る人々をふやす活動を続けています。