KIZUKI~災害想定ゲーム~のご紹介
「KIZUKI」の最初の目標は「防災の必要性について認知する」ことです。ゲームを通じて、まずは楽しみながら、防災対策の必要性を知っていただきます。ゲーム後の意見交換から、「実際に自分の勤務する施設が被災した時にはどうなるか?どう行動しなければならないか?」と自分の置かれている環境を踏まえて現実を考えていくことが大切です。施設の状況を考慮して各自で災害想定を考え、各施設における被害想定と防災対策を作り上げていきます。その際にイベントカードやアイテムカード、さらには独自にカードを作成して活用していただければ幸いです。
災害対策を考える際には、発生時から時間を軸に何をすべきか優先順位を考慮する必要があります。また事前に対応できることをしっかりと準備しておくことも必要です。そのとき、緊急度と重要度の2つの視点で優先順位を決めてできることから対策を講じていくとよいと考えます。
「KIZUKI」はゲームとして活用するだけでなく、皆様が被災した時に迷わず行動できる行動マニュアルとして活用していただければ幸いです。
KIZUKI~災害想定ゲーム~を導入するねらい
非常災害時、上司がいなくても、必要最低限の事柄に関し状況判断する事が出来るようになるのを目的に導入する。
繰り返しKIZUKI~災害想定ゲーム~を行うことで、非常災害訓練の位置づけとしてBCP計画に盛り込み定期的に評価・実践していく事で職員一人ひとりの危機管理意識を高める。
はじめに~KIZUKI開発者・寺西 貞昭理事長あいさつ~
先般の新聞報道にもありましたが、南海トラフ巨大地震の被害想定は、被災者・死者・被害額ともに、我々の想像を遥かに超えるものでした。
近年、防災関係の専門家は、「自助」「共助」「公助」の中でも、「自助」を強調されます。災害時、要援護者となりうる高齢者に「自助」を求めるのは、いささか酷なことであると考えます。高齢者は、周りの人達が助ける「共助」を推進すべきだと考え、共に支えあう社会を目指すべく、「高齢者住まいる研究会」を立ち上げ、平成25年8月より、特定非営利活動法人(NPO法人)として活動をスタート致しました。
「災害からあなたと、あなたの大切な人の命を守るために」をミッションに、介護・福祉分野とBCP(事業継続計画)を結び付ける活動をスタートしております。現在、日本で取り扱われているBCPは、一般企業向けであり、介護・福祉分野では、まだ認知度も低い状況にあります。BCPを深く学べば、学ぶほど、BCPを本当に必要としているのは、介護・福祉分野であると強く認識しました。融合し難い両者をいかに結び付けるかを考察している時に、愛知県一宮市が開催した自主防災リーダー研修で、「避難所運営ゲームHUG」に出会いました。そのゲームを体験した時、私の中でとても大きな衝撃が走った事を今でも鮮明に覚えています。災害想定(シナリオ)から、思いを巡らすうちに、福祉施設における災害想定をゲームに置き換えることを思いつきました。万が一、巨大地震が発生したら…高齢者やケガ人が避難を余儀なくされたとき、近隣の福祉施設を頼る心理は当然でしょう。しかし、その福祉施設の中では大変な事が…
災害シナリオからその備えの必要性、スピーディーな初動の重要性を皆で気付いてもらい、新たな地域社会を皆で築いてもらう、そのようなイメージと重ね合わせて、このゲームを「KIZUKI」と名付けました。「KIZUKI」は災害シナリオを想定する「気づき」に焦点を当てたゲームになっております。
日本国内、各所にある介護施設を、多くの高齢者がご利用になっております。ご利用者様が安心して、快適に過ごして頂けるように、介護施設職員の方々は、日々、努力をされてみえることでしょう。もし今、巨大地震が発生したら、介護施設及び、ご利用者様は、どんな状況になるのでしょうか?皆さんは、そのような状況を想像してみた事がありますか?万が一、電気やガス、水道が不通になり、電話が繋がらない状況になったら?
「KIZUKI」を通してプレイヤーは、介護施設のご利用者様への安全を確保しながら、環境整備を行うと同時に、外部からの来訪者への適切な対応を迫られることになります。被災時に発生する、様々なイベント、その対応を皆で考え、決断していくことを、ゲーム感覚で学ぶことができます。このゲームで巨大災害について、皆さんで考えて頂き、福祉施設と地域が共にかけがえのない存在であることをしっかりと認識し「地域社会活動の継続」を目指し、両者が日頃から手と手を取り助け合う、そんなまちを「築き」あげていくお手伝いができることを願っております。
KIZUKI開発者/特定非営利活動法人 高齢者住まいる研究会
理事長 寺西 貞昭
開発者の声
Q:なぜKIZUKIをつくろうと思ったのですか?
A:福祉施設にこそBCPが必要であること。東日本大震災で介護現場で働く仲間たちが、親族の死や深い悲しみ・苦しみの中、大変な負担を背負ったこと。
職員はどこまで献身的に貢献し続けなければいけないのか?
施設がちゃんと『職員を慮る(おもんぱかる)』その愛情の上に、信頼関係はようやくできるのだと・・。ご利用者様を愛するように職員を愛する施設を増やしていきたい
Q:なぜゲームだったのですか?
A:私は災害やBCP策定支援を通して、人がどうあるべきかを問うているようです。
難しい問題だからこそ、誰にでもわかりやすく
取り組みやすいもの『ゲーム』でいきます。被災後の苦痛・苦悩を想うからこそ、今だけは『楽しく』です。
KIZUKIの体験者の声
中村勇太さん / 施設部特養課
質問1:やってみて感じたこと
この施設で備えておかないといけない備蓄 水 食料 電気類
暖を取るための火を備えておくことの重要性に気が付きました。
質問2:行動に移してみたいこと
水・ペットボトル2リットルの3日分を常に持っておく。
水が出なくなった時のためにタンクに水をためておくことをやった。
質問3:意識が変わった点
いつ東北のような地震があるともわからない。当時は私は自衛隊にいたが、
熊本の北熊本駐屯地にいて、災害に対する危機管理をやっている。
私は4年間勤務したが、
2年目に東北地震があり、3年目で熊本でも大きな災害があった。
私自身も災害で救助できる自衛隊員になりたいと思って入隊した経緯があって、もっと貢献できる人間になりたいと思ってます。
熊本地震の時は、余震の時はコンビニにいました。
やはり自衛隊出身者という事で自然と身体が動いてリーダーシップを発揮する事ができました。
本震の時は家にいたが毛布を頭において声を掛け合った。
ですので、いつ地震がおこっても良いように準備をしておくのが重要だと思ってます。
KIZUKIは、災害の体感ができるとても素晴らしいゲームだと思います。
質問:ゲームの中ではどんな事がおこりましたか?
ゲームでは、利用者様同士のトラブルやトイレの問題が発生した。
自分がもし現場にいたら何ができるのかをゲームの中で体感できた。
ご利用者様に体力的面も精神的な面もストレスをどのようにしたら軽減できるかを感じることができた。
質問:KIZUKIを今後どのように取り扱ったほうが良いと思いますか?
職員間でも施設外でも周りの人とのつながりが大事だと思っいました。
KIZUKIの良さは、しっかりといろんな意見を共有できる事だと思いました。
このゲームはみんなでもっとやるべきだと思います。
そして、災害時にみんなで手を取り合って助け合えるように共有してほしいと思いました。
私は自衛隊の経験を通して、お伝えできることはしていきたい。
まずは、グリーンヒルみふねバージョンを作って施設での共通認識を徹底してレベルアップをしていこうと思います。
KIZUKIは何度かやってルールを把握してから府に落ちていくのではないかと思う。
どんな災害にも想定できると思う。津波や火災・地震などです。
このゲームの本当の狙いや深い部分がわかるのではないかと感じるので継続的に今後もやってみたいと思う。
職員が主役になってご利用者様と、どう関わっていくのかいろんな場所に顔を出して、交流したいと思っています。
連携は、個人意識が高まって初めて連携の質が上がると思っているます。個々の能力を高める事はKIZUKIを通して高めれると思います。
池田芳明さん / デイサービス
質問1:やってみて感じたこと
明日は我が身ではないですが、熊本地震もおこり経験してみて、当時は夜勤でしたが、
利用者様のまず安全確保をおこなったが、幸いけが人がなく安心したがとても恐怖を感じた。
このKIZUKIを体験してみて、さらに防災意識をもっと高める必要があると思った。
質問2:行動に移してみてこと
備蓄品の確認と確保。電池などを揃えた。
あとは緊急連絡網の見直しカイゼンを行った。
避難先の確認。万が一の時の避難場所で、公園や公民館を確認しました。
質問3:意識が変わった点
ゲームでは物資が足りないという現象が起きました。そして、地域住民の方々のトラブルが起こりました。
この時はやはり協力体制というか人との連携が大事だと思いました。
そして、何が起こるかわからない想定外の現象を体感できたのは大きいと思います。
質問4:今後はどうしていきますか?
私が経験して思ったのは、想定外の事が必ず起こります。
日頃からの危機意識。準備。そして、自分は大丈夫という事は絶対にないので、
人と人の助け合いができるようにやっていきたいと思います。
熊本地震を体験して、全国からの支援が本当に感謝している。
このことを忘れずにKIZUKIを通して学べる人を増えていってくれたらと思います。
余談ですが、SNSは今の時代に重要だと思います。これも活性化していけたらと思います。
震災といえば、ネガティブなイメージがあります。
しかし、震災を体験した自分たちも、ゲームを楽しんでやれることができた。
このゲームはもっと身近にみんなで語り合いながらやることで意識を高めていけると思います。
ゲームの説明
※アイテムカードは状況により20枚~25枚引く
※「水、食料ガードは4枚ずつ抜き取る」で行うとより重要性が認識できます。
※イベントカードはファシリテーターにより、発生順などを考慮し並び替え、仕込んで下さい。
※2ターン目以降はサイコロの数をわからないようにする。
※イベントカードとアイテムカードは記載枚数より多くあります。
「KIZUKI」のいろいろな使い方
~アイテムカードの活用法~
・現在、保有しているアイテムカードと、保有していないアイテムカードに分けてみる
⇒備蓄品の在庫数を把握する(記入する)
⇒利用者様数、職員を考慮して、必要在庫数を明確にする
・アイテムカードにないが、用意すべき備品を考える(白紙カードに記入する)
・アイテムカードとともに、使用できる職員を明確にする
⇒使用できる担当者がいない、少ない場合は訓練を実施する(使用できるようにする)
~イベントカードの活用法~
・自分の施設で起こり得るイベント順に並べてみる
・イベントカードにはないが、自分の施設で起こり得るイベントを考える(白紙カードに記入する)
・発生時点から時系列に起こり得る順にイベントカードを並べてみる
・イベントカードを緊急度、重要度の2つの軸で考え、どのポイントにあたるかを考える
・各イベントについて対応できる職員を把握する
・各イベントについて対応に必要な実人員数を考える
~アイテムカードとイベントカードの活用法~
・各イベントカードに対応するために、他に必要なアイテムを考えてみる。
⇒あわせて必要な人員、知識について考える
⇒実際に訓練を実施し、必要な時間を把握する
災害に備えて、意識向上と訓練を繰り返し行って、災害からあなたとあなたの大切な人の命を守る。